タイには有名なお化け(精霊・幽霊)がいます。日本人にも比較的知られているのが、メーナーク・プラカノン(แม่นากพระโขนง)です。
メーナークはタイで最も有名な女性の幽霊。
夫を戦争に送り出している間に出産で亡くなり、死後も夫を愛し続けて幽霊となり、一緒に暮らしたという伝説が残っています。
映画やドラマの題材にも何度もなっており、タイ人ならほとんどの人が知っている存在です。
オンヌットエリアには、「メーナーク寺」として知られるワット・マハーブット(วัดมหาบุศย์ / Wat Mahabut)があり、境内にはメーナーク・プラカノンの祠があります。
メーナークはタイで最も有名な幽霊でありながら、「怖い幽霊」というよりも、「夫を一途に愛した女性」として親しまれています。
我が家では誕生日(猫2匹を含む)に、ワット・マハーブットへ行って亀や魚を放流します。
ただ、この寺が特別に「亀や魚の放流専門の寺」というわけではありません。
寺の周辺には運河があり、昔から放生(ほうじょう)、すなわち生き物を逃がして命を助けることで功徳を積むという習慣が行われてきたそうです。
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タイ人も日本人も、お化けの話が大好きです。
日本人社会でも、
「〇〇ホテルはお化けが出る」
なんて話をよく聞いたものです。
実は私も、タイで一度だけお化けに遭遇したことがあります。
しかも、お化けに怒られました。
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これは旅行者としてタイに来ていた頃の、はるか昔の話です。
当時、ラチャダー通りから少し入った場所にある古びたホテルをよく利用していました。
先日Google Mapを見てみたところ、今でも営業しているようだったのでホテル名は伏せておきます。
ホテル周辺は人通りが少なく、建物自体も薄暗い。
どこか寂しげな雰囲気のあるホテルでした。
私は昔から、ホテルで寝るときは電気をつけたまま、さらにテレビもつけっぱなしにするがありました。
その日も、いつもと同じ。
電気をつけっぱなし、テレビもつけっぱなしの状態で眠りにつきました。
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何時頃だったのでしょうか。
おそらく午前3時くらいだったと思います。
突然、金縛りにあいました。
人生で2度目の金縛りです。
恐怖しかありません。
1度目の金縛りのときは、確実に誰か――いや、何か――が私の体の上に乗り、両肩を押さえつけて起き上がれないようにしていました。
今回は違いました。
何かが乗っている感覚はありません。
しかし、まったく動けません。
目は開けられそうなのですが、怖くて開けられない。
必死に腕や腹筋に力を入れて上半身を起こそうとするものの、体はまったく反応しません。
唯一、頭を少し浮かせられる程度でした。
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どれくらい格闘したでしょうか。
全身から汗が噴き出しているのを感じました。
しかし、不思議なことに、時間が経つにつれて恐怖心は少しずつ薄れていきました。
そうなると、人間とは厄介なものです。
今度は好奇心が湧いてきます。
「いったい今、どういう状況なんだろう?」
私は頭を少し持ち上げたまま、恐る恐る薄目を開けてみました。
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すると、
部屋の床に5~6人の侍が座っていました。
しかも、どうやら戦の真っただ中らしく、全員が真剣な表情で作戦会議をしています。
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「え?」
「侍?」
「日本人?」
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状況がまったく理解できません。
私はしばらく、その光景を呆然と眺めていました。
すると、私に背を向けて座っていた侍の一人が、突然こちらを振り返ったのです。
そして私に向かって怒鳴りました。
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「うるさいっ! テレビを消せっ!」
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そこで私の記憶は途切れました。
次に目を覚ましたときには朝。
そして――
テレビは消えていました。
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あれは本当にお化けだったのか。
ただの夢だったのか。
あるいは、金縛りの最中に見た幻覚だったのか。
真相は今でも分かりません。
ただ一つ言えることは、
もし本当に侍の幽霊だったのなら、
深夜のテレビのつけっぱなしは迷惑だったらしい、ということです。
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