タイ・ラオス・ベトナム!東西経済回廊をゆく3カ国陸路横断の旅④ 〜ラストエンペラー達の悲哀〜

 ベトナムの古都フエ。かつてここには、ベトナムの南北を初めて完全に統一した「フエ王朝(阮朝)」という大帝国がありました。





この王朝の最後の皇帝・保大(バオダイ)帝は、幼少期をフランスで過ごし、西洋的な教育を受けたモダンな青年だったといいます。ベトナムを近代化したいという大志もありましたが、彼が即位した時にはすでに王朝に実権はありませんでした。フランス、日本、そして共産主義の革命勢力という巨大な歴史の渦に、彼はただ巻き込まれるだけだったのです。

この悲劇的な運命は、どこか中国のラストエンペラー・溥儀や、江戸時代最後の将軍・徳川慶喜の晩年に重なるものがあります。時代の扉を閉める役割を背負わされた男たちの孤独は、国が違えど同じ匂いがします。


フエ王朝の滅亡後、主を失った広大な王宮は、さらなる悲劇に見舞われます。ベトナム戦争(特に1968年のフエの戦い)におけるアメリカ軍と北ベトナム軍の激しい市街戦に巻き込まれ、建物の大部分が爆撃で灰燼に帰してしまったのです。

現在のフエの姿は、王朝の滅亡と、戦争の傷跡の両方を伝える歴史の証人そのもの。そう思って改めてこの広大な敷地を眺めると、かつての栄華と戦火の記憶、そこに生きた人々の「悲喜交々(ひきこもごも)」が迫ってくるようで、なんだかしんみりとした気持ちになります。


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