タイ・ラオス・ベトナム!東西経済回廊をゆく3カ国陸路横断の旅⑤|建設会社の夢と挑戦、フエで醸造される日本酒『越の一』

 『越の一』はフエフーズが製造している。 フエフーズは1995年12月に設立された、ベトナムのフエに醸造所を構える日系企業だ。日本の杜氏(とうじ)の技術とベトナムの風土を融合させ、世界へ挑戦し続けている、フエの誇るべき企業である。

フエフーズの親会社であるサイタホールディングスは、福岡県朝倉市に本社を置き、福岡証券取引所に上場している持株会社。 大正12年(1923年)に「才田組」として創業し、本業は道路建設や、その材料となる石を採掘する建設・砕石(さいせき)事業だ。地元福岡を中心に、長年インフラを支えてきた。

全くの異業種で、何のつながりもないように思える企業が、なぜ酒造りを?

才田組はかつて、日本のODA(政府開発援助)プロジェクトなどで、パキスタンやカンボジアなど海外の高速道路やインフラ建設を数多く手がけていた。 あるとき、フエフーズの創業者である才田善彦氏(サイタホールディングス元会長)が、土木業の視察でベトナムを訪れた際に感銘を受けたのが、世界有数の米どころであるベトナムの「お米」と、フエの名水だった。

才田氏は「この豊かなお米と水、そして日本の伝統技術を組み合わせれば、世界に誇れる酒造りができるはずだ」と確信し、1995年に個人出資という形でフエフーズを設立。その後、2010年にサイタホールディングスの完全子会社となった。

「福岡の土木・建設技術」で海外の道を切り拓いてきた会社が、そのフロンティアスピリットをそのまま注ぎ込んで作ったのが、今フエにある酒蔵なのだ。

そんな歴史を知って呑む『越の一』は、キリリと辛い。

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